令和8年3月定例会(第2回)
令和8年2月25日 (代表質問)
戸田馨 (未来会議よしかわ)
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1.命を守る
2.子供の笑顔を未来につなぐ
3.誰もが輝くまちをみんなで創る
4.価値を高め、次世代に継承する
5.その他の主要施策
むすびに
1.命を守る
市はこれまで、「自然災害はすべてを防ぐことはできない」「行政だけでは市民の命のすべてを救うことはできない」との現実を直視した上で、「減災」という理念と「自助・共助」の重要性を市民に繰り返し伝え、市民との共動による取り組みを積み重ねてこられた。これは、災害対策を単なる行政サービスとして捉えるのではなく、市民一人ひとりが命を守る主体であるという認識を共有し、自治の基盤を育ててきた取り組みであると受け止めている。その結果、「自分の命は自分で守る」という自助の意識は、市民の中に一定程度根づいてきているものと考える。
重点テーマの一つ「命を守る」の中の「みんなで備える防災・減災の推進」において、さまざまな方針が示されたが、今後、災害の激甚化・頻発化が進む中にあっては、理念や意識の醸成にとどまらず、命を守る行動が日常の中で実践される段階へと進めていくことが重要であると考える。そこで伺う。
・「減災」という理念のもと、市民の「自助・共助」の意識をさらに高めてゆくため、行政は、市民を支える存在であると同時に、市民一人ひとりの主体性を引き出す存在であることが重要であると考える。平成29年を「減災元年」と位置づけ10年目を迎える今、これまでの「減災意識の向上」を中心とした取り組みの成果も踏まえ、今後、行政の役割をどのように発展させていくお考えか。また、吉川市の減災をどのような姿へ高めてゆきたいと考えているのか。
2.子供の笑顔を未来につなぐ
吉川市教育大綱に掲げる「家族を 郷土を愛し 志を立て 凛として生きてゆく」は、平成29年の策定から10年目を迎える中、当時小中学生であった子供達が社会に出たり、次のステージへと進む中において、その意味や本質を体感として語る声も聞かれるようになってきている。これは、教育大綱が単なるスローガンにとどまらず、教育や子育ての現場に根づいてきた証であると評価している。一方で、言葉としての浸透が進むほど、その背景にある理念や意味合いが、改めて丁寧に語られる機会が少なくなっているのではないかとも感じている。人口減少社会の進行、価値観の多様化、デジタル化の進展など、子供達を取り巻く環境が大きく変化する中にあっても、吉川市として「どのような人を育てたいのか」「どのような姿を目指してほしいのか」という根本的な問いは、今後の教育施策の根幹として改めて共有されるべきであると考え、以下伺う。
・吉川市教育大綱「家族を郷土を愛し 志を立て 凛として生きてゆく」は、子供たちの生きる力を育むための指針であるが、市長は、教育大綱を通じて子供たちにどのような姿を目指してほしいとお考えか。その理念、本質について、あらためてお示しいただきたい。
3.誰もが輝くまちをみんなで創る
市長はこれまで、「支援とは何か」「行政は市民とどう向き合うべきか」という問いに対し、単なる給付や施策の提供にとどまらず、市民一人ひとりが尊厳を持ち、主体的に人生を歩める環境づくりを重ねてこられた。「誰もが輝くまちをみんなで創る」とは、誰かが一方的に「支える側」「支えられる側」に固定されるのではなく、すべての人が役割を持ち、関わり合いながら生きられる社会を目指すことだと受け止めている。重点テーマ3に掲げる各施策は、まさにその理念を具現化するものであると考える。そこで、「生活困窮者支援」「高齢者福祉」「障がい福祉」について、これらの施策の根底にある市長の考え方について伺う。
・生活困窮者支援や子供の学習支援について、支援とは「何かを与えること」にとどまらず、自ら人生を切り拓いていく力を育むことに本質があると考えている。市長は、重層的支援体制整備事業や自立相談支援を通じて、生活課題の解決と併せて「自立」を大切にしてこられたが、生活困窮者支援を通じて、市民一人ひとりにどのような力や姿を育んでいきたいとお考えか。また、そのために行政が最も大切にすべき役割とは何か。
・高齢期は、私たち会派にとってはまだ経験していない領域であり、だからこそ、先輩方の歩んできた人生に敬意を持ち、想像力を働かせながら政策を考える必要がある分野である。スタイルブックは、生き生きと活動されている高齢者の姿を伝え、年を重ねることへの希望を感じさせる象徴的な取り組みだと受け止めている。市長は、「高齢者が幸福を実感し、居場所と役割を持ち活躍する地域」を理想像として掲げているが、高齢者をどのような存在として社会の中に位置づけ、社会参加の推進を通じて、どのような地域の姿を実現したいとお考えか。
・市役所1階での販売や障がい者アート展など、障がいのある方が活躍する場が、日常の風景として少しずつ広がってきている。こうした光景が「特別な配慮」や「支援」としてではなく、当たり前の社会の姿として根付いていくことが重要である。市長は、「互いに尊重し合う障がい福祉」を掲げているが、障がいの有無を含めた共生社会の実現に向け、最も大切にしている価値観は何か。
「平和事業」について
・昨年度の代表質問において、平和施策における「当事者性」の重要性を取り上げた。戦争体験者が減少する中で、平和を単なる知識として学ぶだけでなく、自らの生き方と結びつけて考えることが、今後ますます重要になると考えている。そこで、市長は、次世代に平和をどのような形で伝えていくことが望ましいと考えているのか、また、平和事業を通じて、市民、特に子供や若者に、どのような価値観を育んでゆきたいのかを伺う。
4.価値を高め、次世代に継承する
「文化芸術」について
市長は、「価値を高め、次世代に継承する」というテーマの下、文化芸術を総合政策として位置づけ、文化財の保存・活用を通じて、吉川市が積み重ねてきた歴史や物語を未来へとつないでこられた。
生音コンサート、市展、ハイク探検団、演劇プロジェクト、文芸よしかわの刊行など、吉川市の文化芸術施策は、鑑賞するだけの文化にとどまることなく、市民が当事者として関わる文化へと発展してきており、文化芸術の取り組みに参加された市民の皆さまからは、「楽しかった」を超えて、「生きがいを感じた」「自分の居場所を見つけた」といった声も多く聞かれる。市長がおっしゃるように、文化芸術の成熟はまちの成熟度を表すものであり、吉川市はこの10年で、確実にその厚みを増してきたと評価している。そこで以下伺う。
・総合政策として位置づけている文化芸術の取り組みを通じて、市民一人ひとりにどのような力や変化が育まれていくことを期待されているのか。併せて、これらの価値をさらに高め、次世代へ手渡していくため、吉川市の文化芸術を今後どのような段階へ引き上げてゆくのか、市長の描く次のステージについてお示しいただきたい。
「文化財」について
施政方針において、先人たちが築いてきた「歴史文化」を学び、後世に継承していくことは、「価値ある未来」を創っていくための、今を生きる私たちの重要な役割であるとの理念が示されている。その具体の取り組みとして、令和8年度には、「市制施行30周年記念誌 〜郷土を愛し、未来へつなげる〜」の編集や、子供向けリーフレットの制作など、市の歴史や文化、魅力を市民と共有し、未来を担う子供たちの郷土愛を育む施策を進めていくとされている。先日、担当職員による古文書資料の虫干し作業を拝見し、先人の記録を守り続ける地道な努力と、その尊さを改めて実感した。一方で、デジタル技術の進展により、文化財を高精細データとして保存し、広く「公開・活用」する取り組みも各地で進められている。こうした状況を踏まえ、以下伺う。
・市長は、文化財保護における「保存」と「活用」を、どのような関係性で捉えているのか。
・施政方針で示された「価値ある未来」へとつなげていく観点から、文化財の保存・公開・継承の方法について、どのような可能性を見据えているのか。
「農業・産業」について
市は、魅力ある農業の振興、農業拠点の施設整備、賑わいある商業・活力ある工業の振興について、現場の実態を踏まえたきめ細かな施策を展開してこられた。特に、職員の皆さまが丁寧に現場へ足を運び、生産者や事業者の声を聞き取りながら制度設計を行っていることに対し、農家の方々や事業者の皆さまから、市への感謝の声を多く耳にしている。
これは、吉川市が掲げる「共動のまちづくり」が、農業・産業分野においても着実に根付いてきている証であると受け止めている。そうしたことを踏まえ、以下農業・産業について伺う。
・用排水路整備や緊急支援給付金など、生産基盤を守る施策が進められている一方で、農業パーク基本構想の下、次世代の視点を取り入れた都市近郊農業の確立に向けた取り組みも進められている。今後の吉川市の農業を、「守る対象」としてだけでなく、どのような「価値を生み出す産業」として位置づけてゆくのか。また、農業パークを通じて、どのような農業の未来像を描いているのか。
・物価高騰や人材不足といった構造的課題に直面する中で、即効性のある支援策が講じられているが、地方自治体の役割は、支援メニューを用意することにとどまらず、事業者が自ら挑戦し続けられる環境を共につくることにあると考える。事業者に対し、行政はどのような立ち位置で関わるべきとお考えか。「伴走する行政」とはどのような姿か。
・産業フェアでは、実体験や生の声の発信、事業者と市民が直接関われる機会の創出などを通じて、来場者に大きな刺激と感動を与えてきた。産業フェアが、人の想いや挑戦が共有され、次の挑戦を生み出す循環の場へと進化してきている中で、今後どのような役割を担うプラットフォームへと育ててゆきたいとお考えか。
5.その他の主要施策
「街路樹」について
施政方針において、街路樹を中心とする道路の緑化について、うるおいある景観の創出や自然環境の保全機能といった価値を示す一方で、大木化・老木化、病害虫被害、歩道の根上がりなどの課題を踏まえ、持続可能な維持管理を目指した街路樹マネジメント方針の策定を進めるとされている。心地よい景観は、日々、地道に管理に携わる方々の努力の積み重ねによって支えられており、そのご尽力に敬意を表する。
樹木の管理は、単なる「残すか、伐るか」という二項対立で語れるものではなく、樹木一本ごとの健康状態や倒木・枝折れのリスク、病害虫対策、更新の考え方、専門人材の確保、維持管理費用など、複合的な要素を踏まえた判断が求められる分野である。だからこそ、「守るべき緑」と「更新すべき緑」を丁寧に見極めながら、将来世代に責任を持てる公共の緑の管理の在り方を構築してゆく必要があると考える。そこで伺う。
・市長は、街路樹マネジメント方針の策定に当たり、公共の緑をどのような価値として位置づけ、その価値を踏まえた上で、「守る緑」「更新する緑」を選び取る際の判断基準をどのようにお考えか。
・景観、安全性、環境面、財政面といった複数の要素をどのように整理し、総合的な判断のもとで、持続可能な「公共の緑の在り方」を構築してゆくのか。
「行政運営」について
第6次吉川市総合振興計画・後期基本計画の策定年度を迎えるに当たり、人口減少・少子高齢化が進行する時代の中で、吉川市としてまちづくりの方向性をどのように描いてゆくのかが改めて問われている。市長はこれまで、他自治体との人口の奪い合いではなく、今、吉川市に暮らす市民一人ひとりの幸福実感や自己実現、まちづくりへの主体性を高めていくことを重視するという、人口減少時代を見据えた施策理念を明確に示してこられた。その上で重要となるのは、人口動態や社会構造の変化を踏まえ、吉川市として「何をもって前進とするのか」「何を成果と捉えるのか」という判断基準を、後期基本計画の中でどのように示してゆくのかという点である。
今後の計画づくりにおいては、事業量や実施件数といった量的評価にとどまらず、市民の幸福実感、将来世代への負担の抑制、まちづくりへの当事者意識といった質的な視点を計画に反映させていくことも重要であると考える。あわせて、前期基本計画策定時の人口推計と実際の人口動向を検証するとともに、第6次総合振興計画と総合戦略との関係性についても、後期基本計画の中で改めて整理してゆく必要があると考え、以下伺う。
・後期基本計画の策定に当たり、人口推計を含めた基礎データの検証・整理をどのように行い、計画の考え方として示してゆくのか。
・幸福実感、自己実現、持続可能性、共動といった理念も含め、後期基本計画における指標全体について、どのような考え方のもとで整理・構築してゆくのか。
・第6次総合振興計画と総合戦略との関係性をどのように整理し、後期基本計画の中でどのように位置付けてゆくのか。
むすびに
市長が就任以来、一貫して掲げてこられた「市民一人ひとりが日々の暮らしの中で幸福を実感でき、持続可能」である「価値ある未来」を吉川市に創り出す、というまちづくりの理念は、施政方針全体を貫く軸であり、各分野において理念を丁寧に打ち立ててこられた結果として、まちは着実に前進してきているものと高く評価している。あわせて、日々現場で市民と向き合い、市政を支えてこられた職員の皆さまの地道で着実なと取り組みと努力に、深い敬意と感謝を申し上げる。
一方で、吉川市は市制施行30周年という節目を迎えると同時に、今後は本格的な人口減少局面に入ることが見込まれており、「人口減少」を前提とした行政運営へと、大きな転換期にあるものと認識している。今後は、施策を積み重ねることに加え、時代にそぐわなくなった制度や仕組みを見直し、行政サービスそのものを最適化・再設計していく視点が、これまで以上に重要になると考える。
また、市長が柱の一つとして掲げておられる、子供や若者達の「まちづくりへの主体的な参画」については、私達会派も人口減少時代における最重要テーマの一つであると考えている。若い世代が将来、「この社会に関わってよかった」「このまちの一員でよかった」と実感できること、その実感を育むことこそが、人口減少時代における最大の投資であり、吉川市の未来を支える根幹であると考える。以上を踏まえ、むすびで示されている「市民一人ひとりが日々の暮らしの中で幸福を実感でき、持続可能」な「価値ある未来」に吉川市をさらに導いてゆくため、以下伺う。
・人口減少を前提とした行政運営へと転換する中で、行政は何を担い、何を支え、何を市民や地域に委ねてゆくのか、その役割を踏まえた「共動」の在り方をどのように考えているのか。
・「持続可能」なまちづくりを実現するためには、行政サービスや制度について、人口規模や地域特性、ニーズの変化に応じて見直しを行い、必要なものは磨き上げる一方で、役割を終えた制度や実態にそぐわなくなった事業については、整理・再構築していくことも不可欠であると考えるが、事業や制度の取捨選択・再構成を、どのような考え方とプロセスで進めてゆくのか。また、その際、市長が特に重視する視点は何か。
・子供や若者達の「まちづくりへの主体的な参画」を、単なる参加機会の提供にとどめるのではなく、将来の社会を担う「当事者」として育んでいくために、今後、どのような方向性と考え方をもって取り組みを進めてゆくのか。